ヤンバルクイナ
( ヤンバルクイナ属の一種) 学名 : Hypotaenidia okinawae 属 : ヤンバルクイナ属
ヤンバルクイナ, ( ヤンバルクイナ属の一種)
学名: Hypotaenidia okinawae
属: ヤンバルクイナ属
Photo By Lars Petersson
説明
全長35センチメートル。翼長15 - 16センチメートル。翼開長48 - 50センチメートル。体重340 - 430グラム。上面は暗オリーブ褐色で、顔や喉は黒い。耳孔を被う羽毛(耳羽)から、後方に向かう白い筋模様が入る。眼先に白い斑点が入る。頸部から腹部にかけての下面は黒く、白い横縞が入る。尾羽基部の下面を被う羽毛(下尾筒)は黒褐色で、下尾筒の羽先は黄褐色がかった白色。体重と比較して翼の面積は小型で、翼を動かす筋肉も貧弱。初列風切内では第10初列風切が最も短い。 虹彩は赤い。眼瞼は赤橙色。嘴は太い。嘴の色彩は赤く、先端が白い。後肢は発達し太い。後肢の色彩は赤い。 卵は長径5センチメートル、短径3.5センチメートル。幼鳥は虹彩や嘴が褐色で、後肢は黄褐色。
サイズ
30 cm
巣の配置
地面
食性
雑食性
一般的な情報
行動
平地から標高500メートル以下にある主に下生えが繁茂した常緑広葉樹林に生息する。リュウキュウマツ林や採草地・海岸付近の民家周辺などで見られることもある。夜間になると樹上で休むが、これはヘビ類を避けるためだと考えられている。ほとんど飛翔することはできず、樹上6メートルの高さにいた個体がほぼ羽ばたかず約45度の角度で滑空した観察例がある。薄明薄暮時に鳴き声を挙げ、縄張りが隣接する個体同士で鳴き声を挙げ縄張りを主張する。 2016年に発表された31羽(そのうち交通事故で死亡した個体が16羽)の胃の内容物調査では、昆虫、腹足綱、ミミズ、果実、種子などが報告されている。この調査では81 %の個体でバンダナマイマイBradybaena circulus(21個)、オキナワヤマタニシCyclophorus turgidus(14個)などの腹足綱(計59個)が発見された。大型の腹足綱(巻貝類)は殻を割って軟体部のみを食べ、小型の巻貝類や殻が硬いヤマタニシ類は丸飲みにする(そのため胃の内容物調査では軟体部のみで消化されやすい大型腹足綱やミミズ類の割合が小さくなっている可能性が示唆されている)。アカメガシワやキキョウラン・ゴンズイ・ホウロクイチゴRubus sieboldii・ヤマモモ・イヌビワ類などの植物質では果皮があまり消化されていなかったため、本種が種子散布者となっている可能性が示唆されている。この調査対象となった交通事故死した個体では、アシジロヒラフシアリTechnomyrmex brunneusやオキナワハンミョウCicindela okinawana、アカメガシワなどのような道路などの開けた林縁に生息・自生する食物、ハナアブ類の幼虫のように有機汚濁の進んだ人為的な水場に生息する獲物を多く採食していたことが示唆されている。別の胃の内容物調査ではシロアゴガエルやヒメアマガエルが発見された例もある。本種の全長よりも長い、全長58センチメートルのリュウキュウアオヘビを飲みこんだ個体の撮影・報告例がある。林床で採食を行うが、浅い水中で採食を行うこともある。 外部寄生虫として、2005年に西銘岳で幼鳥2羽からシラミバエ科の一種Ornithoica exilisが採取された例がある。 繁殖様式は卵生。シダ植物や低木・草本が繁茂した地表に、枯れ葉などを組み合わせた皿状の巣を作る。3 - 5個の卵を産む。
分布
日本(沖縄島北部の大宜味村・国頭村・東村)固有種。 模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は、フエンチヂ岳。和名は、沖縄島北部を指す呼称である山原に由来する。