オガサワラヒメミズナギドリ
( ハイイロミズナギドリ属の一種) 学名 : Puffinus bryani 属 : ハイイロミズナギドリ属
オガサワラヒメミズナギドリ, ( ハイイロミズナギドリ属の一種)
学名: Puffinus bryani
属: ハイイロミズナギドリ属
説明
全長27 - 30センチメートル。翼長17 - 18センチメートル。翼開長55 - 60センチメートル。属内では小型だが、尾羽の比率は大きい。体上面や尾羽基部の下面を被う羽毛(下尾筒)は黒い。体下面は白く、頭部下面の白色部は眼上部まで達する。 嘴や後肢は青灰色。 確認されているミズナギドリ属の中では最も体が小さい。尾は近縁種より長く全体的に黒味が強い。背の部分がより黒く、羽の方に行くにしたがって茶色がかっている。くちばしは青がかった灰色をしていて、足は青色で、腹部は白色である。頭部は目の部分を境に上部が黒く、下部は白い。
一般的な情報
行動
死骸の発見例からオガサワラススキからなる草地やタコノキなどからなる低木林、岩の隙間のような開けた環境で繁殖すると考えられている。 2015年2月に森林総合研究所とNPO法人小笠原自然文化研究所の共同研究により父島列島の東島で10羽の鳴き声が確認されうち4羽を捕獲(捕獲後に足環を装着し放鳥)された。巣および抱卵中の個体も発見され、巣はオガサワラススキの草地とタコノキの低木林の混在する場所で確認されている。小笠原諸島では12 - 5月に発見されたことから冬季に繁殖すると考えられている。 2015年3月、独立行政法人森林総合研究所を中心とした研究チームは、同年2月25日から26日に掛けて行われた調査で、小笠原諸島父島付近の無人島・東島で、オガサワラヒメミズナギドリ10羽を発見したと発表した。さらに付近を調査し、草地に掘られた巣と、巣の中で卵も発見した。 自然状態で生息する姿や営巣地の確認は初めてのこととなり、研究チームは個体数や生態の解明を急ぎ、絶滅回避につなげたい考えである。
分布
模式産地はサンド島(ミッドウェー諸島)。小笠原諸島での繁殖が確認されている。ミッドウェー諸島で2例の確認例があるが迷行した個体(迷鳥)だったと考えられている。 ミズナギドリ科を含めて一般的に海鳥は、離島にある巣に夜だけ戻るという生活をする種が多いが、オガサワラヒメミズナギドリの巣が主にどこにあるのかはわかっていない。 種や個体によっては新たな餌場を求めて元あった巣から遠く離れた場所に新たな巣を作ることもしばしばあり、ハワイから遠く離れた太平洋上のどこかの島で巣を作っている可能性がある。ミッドウェー諸島や小笠原諸島で発見されたことを考えると、ミッドウェー諸島と同程度の緯度の太平洋やインド洋のどこかに餌場がある可能性もある。また、DNA型がケアプベルデヒメミズナギドリに近いことを考えると、ケアプベルデヒメミズナギドリが主に生息するカーボベルデ諸島やバミューダ諸島のような亜熱帯や熱帯気候により適しているという見方もできるし、ケアプベルデヒメミズナギドリに比べて体が小さいことを考えると、亜南極に棲むヒメミズナギドリや北大西洋に棲むバローロ・シアウォーター(英語版)のように、海水温度が低い海域に適応しているという可能性も考えられる。繁殖は日本や他の太平洋上の島で行い、ハワイ諸島には一時的に留まっていたに過ぎない可能性も考えられる。 ミッドウェー環礁よりも小笠原諸島においてより多くの個体が発見されたことを踏まえ、主な生息域は小笠原諸島である可能性が指摘されていたが、2015年2月に小笠原諸島父島列島の無人島・東島において、初の営巣が確認された。