フクロウオウム
( Strigopsの一種) 学名 : Strigops habroptila 属 : Strigops
フクロウオウム, ( Strigopsの一種)
学名: Strigops habroptila
属: Strigops
説明
大きな太ったオウムで、オスの成体で体長が60cmに達し、体重は3~4kgである。その大きさに対して小さな翼しか持っておらず、鳥が飛行するために必要な筋肉につながる竜骨が著しく退化しているため、飛行能力はない。翼は、バランスをとったり、体を支えたり、木から跳ねた時落下を防ぐために使う程度である。他の陸上性の鳥と違い、エネルギーを蓄えるために、体の大半に脂肪を蓄積することが可能である。 背中には黒の縞模様の入ったモスグリーンの羽を持っており、草木の中にうまく紛れ込む。羽は飛ぶための強さと硬さが不要なため、きわめて柔らかい。その下腹部、首と顔は黄色がかっている。顔は平面的で、フクロウの顔に似ている。そのため、初期のヨーロッパの移民から「フクロウオウム」と呼ばれた。くちばしの周囲には繊細な「ひげ」が生え、頭を下げて地面を歩く時には、地面を感知するのに役立っている。常に地上にいることから、尾羽の端は地面を引きずっていることが多い。 くちばしは、きれいに食物をすりへらすことができるようになっているため、同じような大きさの他の鳥と比較すると、砂嚢は非常に小さい。足は大きく、羽毛が生えておらず、うろこ状の皮膚がむき出しになっている。全てのオウム類同様に対趾足(前に2本、後ろに2本)で、特に木などに登るのに役立つ。 夜行性であり視覚にはあまり頼れないため、かなり発達した嗅覚を持っている。これによって、食物を探し当てることができる。この能力はオウムの仲間で唯一の事例である。体から強い芳香を発しており、カカポの最も大きな特徴の一つとされている。その芳香は、骨董バイオリンケースの内部、花、蜂蜜、エアフレッシャーなどとさまざまに形容される。カカポのかなり発達した嗅覚を考えると、この芳香は、個体間での識別信号であると考えられている。しかし、この芳香は、しばしば捕食者に対して無防備な状態を招きがちで、このことも、カカポの数が減少している一因となっている。
サイズ
64 cm
食性
草食性
一般的な情報
行動
カカポの先祖がニュージーランドに来たのは今から100万年ほど前の第四紀である。そのときには他のオウムと変わらない普通のオウムであったと推測される。時が経つにつれ大きさが次第に増し、体重が増えやがては飛行能力を喪失したのである。しかし興味深いことにニュージーランドには野生の哺乳類が3種のコウモリ以外はいなかったのである。そのため、鳥たちが、他の地域では哺乳類が進出している生態的地位へも進出していった。人類がこの島々へ渡来するまでは、カカポの進化は成功し、ニュージーランドに100万羽生息していたと考えられる。 かつては、ニュージーランドの3つの主な島中に進出したのち、低木地と海岸の地域や、podocarps(rimu、マタイ、kahikatea、totara)、ブナ、タワとラータが主な植生の森林などに生息していた。彼らは、特に森の周辺部と一層、重い果実のなる広い多様性ある森のコンパクトなエリアに生息した。フィヨルドランドの、雪崩の領域の「ファイブフィンガー」「ワインベリー」「ブッシュロイヤー」「チュチュ」「ヘベ」「コプロマス」などの果実がなる地域は、「カカポの庭」として知られていた。 夜行性なので、昼間は木の下の茂みに身を隠して、夜になると餌をもとめてなわばりを歩き回る。飛ぶことはできないが、木に登ることには優れる。どんなに高い木にも登った。カカポが木の高いところから翼を広げて「パラシュート」で降りていくことも知られる。そして、林床に穏やかに着地する。飛ぶ能力を失ってカカポは非常に強い足を発達させた。一夜の給餌の間に、彼らは数キロメートル歩くと考えられ、さらに300mの丘を上へ下へと移動する。かなりの速度で走れるが、長距離を速く移動することはできない。 通常、草食で、自生している多種多様な植物を食べる。果実、種、花粉、樹液さえ食べる。特にリムの木の果実を好み、たくさん実っているときはシーズンをとおして食べ続ける。足で葉をつかんで、それをクチバシではいで繊維質の部分を残し、丸めて捨てて、食べる。それはまるで人間がアーティチョークのやわらかい部分だけを食べる方法と似ている。植物繊維の小さい塊はカカポの存在を示す特徴的な証拠である。時折、昆虫と他の無脊椎動物を食べるのも観察された。 好奇心旺盛で、個体間が離れたところで生息しているので、人間との接触を楽しんでいるようである。保護センターのスタッフとボランティアが接触した時には、それぞれの個体に豊かな個性があることが確認された。 多くのオウムと同様に、広範囲にわたる呼び出しを色々な目的のために使っている。彼らの繁殖期の「唸り声」と「くちばしを鳴らすこと」に加えて、仲間に居場所を知らせる、「skraark」も知られている。 逆に、なかった行動はというと、捕食者あるいは脅威に対する反応である。身の危険を感じた時、森の中でじっとして身を隠そうとした。これは、ニュージーランド在来の捕食者(巨大なワシの仲間ハーストイーグル)から身を守るのには有効な戦略であったのだが、この戦略は優れた嗅覚に頼る新たな捕食者に対しては役に立たないため、絶滅に対する懸念はさらに大きくなっている。
ステータス
カカポの生息数は、ニュージーランドに人間が住むようになってから、かなり減少した。1891年に保護対策が絶滅を防ぐために試られて以来、最も成功した計画は1989年に実行された「カカポ保護計画」だった。